2010年5月27日木曜日

きれぎれ

書名⇒ きれぎれ

著者⇒ 町田康

出版社⇒ 文藝春秋

分類⇒ 文学(私小説)



感想⇒ 本書の著者はロック・ミュージシャンで詩人でもあり小説家でもあるという多芸多才な才能の持ち主であり、この作品は芥川賞を受賞した作品ですが、あまりに才能が先走っているのか、読んだ私があまりに鈍才すぎるのか、話の内容としては支離滅裂で、何だか取りとめのない、訳のわからない内容でした。正直言って、芥川賞受賞作という事には首を傾げてしまいました。

ただ、文体はハチャメチャでも、文章のごろ合わせや滑稽さが抜群で面白く、内容の支離滅裂なところが却って新鮮でもあり革新的でもあって、そこが、伝統的・保守的な文学の常識を覆すという新しい試みとして評価されたのではないかと思います。

従来の枠にはまった文芸作品に飽き足らなくなった時に読めば、確かに面白い作品だと言えます。
 

 きれぎれ

きれぎれ




2010年5月13日木曜日

朝顔男

書名 ⇒ 朝顔男

著者 ⇒ 唐十郎

出版社 ⇒ 中央公論新社

分類 ⇒ 文学(奇譚小説)



感想 ⇒ 主人公の青年が、老人から預かった朝顔の“左巻きの秘密”に導かれて物語が進展してゆくという内容の小説ですが、正直言って訳の判らない内容でした。しかし、妙に面白い小説でもありました。

まず文章が変わっていて面白く、登場してくる人物も変な人間が多く、それも面白い点でした。

また、物語の中で、長崎県の大瀬戸港や池島炭鉱が出てくるのも興味深い点でした。長崎県とは関わりがないように見える著者が、どうして大瀬戸港や池島炭鉱を物語の中の1つに選んだのかという事に興味を惹かれました。


 朝顔男

朝顔男