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2015年4月13日月曜日

愛する人達

書名⇒ 愛する人達

著者⇒ 川端康成

出版社⇒ 新潮社

分類⇒ 文学(恋愛小説)


感想⇒ 川端康成の文学を端的に表現するならば、「美しい文学」という言葉に尽きると思います。
そして美しい日本語で紡がれているその文体の特徴は淡々とした文章表現にあり、物語を客観的に淡々と述べてゆくところに、この作家の持ち味があり、それがまた味わい深い文体になっていると言えます。
エンタメ系ではない純文学だから当たり前とは言えますが、大仰な表現や感情を過度に熱くするような書き方ではなく、その淡々とした中に人間関係の機微がうまく表現されていて、文学の名人・達人の技がさりげなく表わされていると感じられます。

本書の短篇集にはさまざまな形の愛の物語が描かれていますが、いずれも美しい文章によって表現されていて、どこまでも美しさの読後感が余韻として残る作品でした。
ただ、こういう正統派の美しい純文学ばかり読んでいると物足りなさを感じてしまいますが、斜に構えたような書き方の作品の合間に読むとひときわ新鮮に感じるものです。




2014年5月28日水曜日

にぎやかな天地



書名⇒ にぎやかな天地
著者⇒ 宮本輝
出版社⇒ 講談社
分類⇒ 文学(恋愛小説)
感想⇒ 本書は恋愛小説ではあるんですが、 主人公の聖司が人妻の美佐緒に抱く恋心はあくまでも淡いものであり、相手が人妻ということもあって、決して直接的なものではありません。
その点は現代風の直接的な分かりやすい恋愛小説と違い、夏目漱石の『三四郎』における淡い間接的な恋愛と同じく、言わば奥ゆかしい恋愛小説と言えそうです。
そして、本書では酢造りや詩集の編集に関わる内容や、登場人物たちの複雑な家庭環境によるそれぞれの思いと、その人間関係が、激烈 な事件や過激な描写もなく、ゆったりと淡々と描かれています。
一読してゆくと、何か歯ごたえのない面白みのない小説のように思えますが、読後、じわじわと心の中に滲みてくるようでした。
特に恋愛にしてもストーリー展開にしても、現代風なストレートさがないのが小説として評価できると思いました。
聖司と美佐緒の恋愛も結局成立しないままに終わってしまうのですが、そこが現実的であり、リアルな小説の良さだと感じました。

 にぎやかな天地 上 (講談社文庫)/宮本輝/〔著〕(文庫)

にぎやかな天地 上 (講談社文庫)/宮本輝/〔著〕(文庫)
 にぎやかな天地 下 (講談社文庫)/宮本輝/〔著〕(文庫)

にぎやかな天地 下 (講談社文庫)/宮本輝/〔著〕(文庫)

2013年1月26日土曜日

ストロベリー・フィールズ



書名⇒ ストロベリー・フィールズ

著者⇒ 小池真理子

出版社⇒ 中央公論新社

分類⇒ 文学(恋愛小説)

感想⇒ 恋愛小説は掃いて捨てるほど書かれていて内容も陳腐なものが多いので、今までほとんど読んだことはありませんでしたが、この著者は人気作家なので1度は読んでみたいと思っていたので今回読んでみました。
恋愛小説への先入観で読み始めた本書でしたが、読み進めるうちに物語に引き込まれていきました。ただ甘いだけの恋愛小説ではなく、許されない恋愛への苦悩と、複雑な家庭内での夫や義理の娘への心の葛藤など、この主人公や家庭はこれからどうなるのか、という波乱の物語に魅せられていったからです。その息詰まるような緊迫感はサスペンス小説と言ってもよいくらいで、物語として楽しめる作品でした。
 ストロベリー・フィールズ

ストロベリー・フィールズ