書名⇒ ルドヴィカがいる
著者⇒ 平山瑞穂
出版社⇒ 小学館
分類⇒ 文学(ミステリー小説)
感想⇒ 長い間ブログを放置してしまいましたが、いろいろと雑用があってなかなかブログを書く暇がありませんでした。
それでも本は忘れず読んでました。どんなに忙しくても、私にとって本を読むというのは生きる上で必要な行為なのです。
それで一段落ついたので、久しぶりに読書感想を書いておきます。
私が思うには、近頃の軽めの文体・文章が多い日本文学界において、珍しく濃い言葉を紡ぎだす本格的な文学者と呼ぶに相応しいと思えるのが本書の著者なのです。
私が著者の作風に傾倒しだしたのは『全世界のデボラ』という幻想小説を読んでからで、幻想小説こそこの作者の文学性が遺憾なく発揮されるジャンルではないかと思っていました。
ただ、残念なのは、この著者が幻想小説をあまり書いていなくて、恋愛小説が作品に多いということで、私は恋愛小説には関心 がないので他の作品を読んでなかったのです。
そんな中で、本書は題名の珍しさに惹かれて手に取りました。
そして本の帯には「ファンタジーともミステリーともいえる不思議な感覚」と書かれてあり、これは「当たりかな」と思って読み始めたのです。
確かに内容はファンタジーのようなミステリーのような不可思議な感覚の作品でしたが、それと相まって私が惹かれたのはやはりこの作者の変幻自在な言葉の力にありました。
実際、話の筋はどうでもよく て、言葉を読むということ自体を楽しんだという方が当たっています。
そして言葉の1つ1つを噛み砕きながら読んでいる内にいつの間にか物語が終わってしまったという感じです。
読み終えて「これぞ文学」と言える作品でした。
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