2013年1月26日土曜日

ストロベリー・フィールズ



書名⇒ ストロベリー・フィールズ

著者⇒ 小池真理子

出版社⇒ 中央公論新社

分類⇒ 文学(恋愛小説)

感想⇒ 恋愛小説は掃いて捨てるほど書かれていて内容も陳腐なものが多いので、今までほとんど読んだことはありませんでしたが、この著者は人気作家なので1度は読んでみたいと思っていたので今回読んでみました。
恋愛小説への先入観で読み始めた本書でしたが、読み進めるうちに物語に引き込まれていきました。ただ甘いだけの恋愛小説ではなく、許されない恋愛への苦悩と、複雑な家庭内での夫や義理の娘への心の葛藤など、この主人公や家庭はこれからどうなるのか、という波乱の物語に魅せられていったからです。その息詰まるような緊迫感はサスペンス小説と言ってもよいくらいで、物語として楽しめる作品でした。
 ストロベリー・フィールズ

ストロベリー・フィールズ

2013年1月1日火曜日

全世界のデボラ

書名⇒ 全世界のデボラ

著者⇒ 平山瑞穂

出版社⇒ 早川書房

分類⇒ 文学(幻想小説)



感想⇒ 昔は幻想小説やファンタジー小説には映画のようなストーリー展開の面白さを期待して読んでいたものですが、特に幻想小説と銘打たれた類の小説は目まぐるしいストーリー展開がなく、難解な文章表現に阻まれてページを繰るのも遅れ気味になり、イライラするばかりでなかなか面白みを感じることができないでいました。
それが純文学の文章表現に惹かれるようになってからは、幻想小説の晦渋に満ちた文章こそ純文学であり、文学の中の文学と言えるのではないかという事に気がつくようになってきました。
それで本書ですが、幻想小説という体裁をとっていますが、その濃密に凝縮された文体こそ文学中の文学だと言えると思います。
またそれぞれの短編の物語設定もその視点が凝っていて、例えば『駆除する人々』では「悪魔」と呼ばれている化け物みたいな生物を役場の職員が職務として駆除作業をしているのですが、単に人間対化け物の戦いという視点ではなく、地方自治体としての問題点といった見方によって物語を展開しているなど、そのユニークな発想にも面白みを感じました。



全世界のデボラ

全世界のデボラ