著者⇒ 平山瑞穂
出版社⇒ 早川書房
分類⇒ 文学(幻想小説)
感想⇒ 昔は幻想小説やファンタジー小説には映画のようなストーリー展開の面白さを期待して読んでいたものですが、特に幻想小説と銘打たれた類の小説は目まぐるしいストーリー展開がなく、難解な文章表現に阻まれてページを繰るのも遅れ気味になり、イライラするばかりでなかなか面白みを感じることができないでいました。
それが純文学の文章表現に惹かれるようになってからは、幻想小説の晦渋に満ちた文章こそ純文学であり、文学の中の文学と言えるのではないかという事に気がつくようになってきました。
それで本書ですが、幻想小説という体裁をとっていますが、その濃密に凝縮された文体こそ文学中の文学だと言えると思います。
またそれぞれの短編の物語設定もその視点が凝っていて、例えば『駆除する人々』では「悪魔」と呼ばれている化け物みたいな生物を役場の職員が職務として駆除作業をしているのですが、単に人間対化け物の戦いという視点ではなく、地方自治体としての問題点といった見方によって物語を展開しているなど、そのユニークな発想にも面白みを感じました。
全世界のデボラ
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