2014年3月30日日曜日

親指Pの修行時代



書名⇒ 親指Pの修行時代

著者⇒ 松浦理英子

出版社⇒  河出書房新社

分類⇒ 文学(空想恋愛小説)
 
 感想⇒ この作品は足の 親指が男性器に変形した若い女主人公の恋愛模様を描いた小説で、なかなか突飛な発想だなとは思いましたが、下ネタ連発の下品さには辟易させられてしまいました。
まあ、それも面白さ の1つで、奇抜な発想とユーモラスな語り口に楽しめる内容ではありました。
ただ、この本は上下2巻という長編なんですが、このような内容で上下2巻というのは冗長で長過ぎるし、1巻に短縮してもいいのではないかと思いました。



親指Pの修業時代 上 河出文庫 / 松浦理英子  〔文庫〕

親指Pの修業時代〈下〉 (河出文庫)  /松浦理英子 【文庫本】

親指Pの修業時代〈下〉 (河出文庫)  /松浦理英子 【文庫本】


2014年3月24日月曜日

日蝕

書名⇒ 日蝕

著者⇒ 平野啓一郎

出版社⇒  新潮社

分類⇒ 純文学


本書は芥川賞受賞作で、当時学生だった著者がデビュー作でいきなり大きな文学賞を受賞したので話題になった作品です。また、当時の最年少受賞者としても話題になってました。 
そして私は近頃まで知らなかったのですが、この作品には盗作問題が持ち上がり、特にインターネット上では著者への批判的論評も目立っていたようです。更にはその文章に関しても衒学的だと批判されていたようです。
そのように毀誉褒貶 相半ばするようなこの本作なのですが、文学に関して素人の私の感想としては、一読してその文学的表現には驚愕しました。その文章は古い文体で書かれていると共に、難語だらけで高度な文章技術とも言うべき奥深い表現で綴られており、私にとって驚嘆する内容ではありました。
しかも本書は著者がまだ23歳の頃に書かれたものだということです。23歳にしてこれほど高度な文章が書けるとは、しかもこれほどの語彙を知っているとは、と驚いたものです。
近頃の純文学には漢字をあまり使わない軽めの文体の小説が多いようですが、本書は古めかしい文体で難しい漢字を多用した緻密で重厚な作品に仕上がっていて私としては充分読み応えがありました。
このような文章を「知識をひけらかしている」と批判してる人もいますが、これほど緻密で重厚な文章を書けるのも才能だと言えます。また、今はインターネットで難しい漢字や言葉などはすぐ探し出せるから奇をてらって難語だらけの文章にして読者の気を引こうとしたのだろうといった批判もありますが、やはり才能がなければ、いくらネットで検索してもこのような文章は書けないでしょう。
話の内容も中世のヨーロッパを舞台に、哲学やキリスト教神学、当時のカトリックの内情や聖職者の堕落の問題、それに神秘体験などをちりばめた物語で、これもそれらに精通した才能なくしては書けないと思います。
私は盗作されたとされる小説は読んでないですが、明らかな盗作としては問題になってないようなので、話の筋が少し似ている、あるいは扱った題材が似ているという程度ではないかと思います。
私個人としてはこの小説は高度な文学だと言ってよいと思いました。
なお、この小説のカテゴリーは歴史小説・宗教小説・哲学小説・幻想小説などいずれとも決めかねているところなので、単に純文学としておきます。



日蝕・一月物語

日蝕・一月物語









2014年3月6日木曜日

考える日々Ⅱ

書名⇒ 考える日々Ⅱ

著者⇒ 池田晶子

出版社⇒ 毎日新聞社

分類⇒ 哲学

感想⇒ 身近な事から社会問題まで哲学的に考察している内容が面白く、共感しながら読んでました。
社会一般や世間で人気のあるものや支持されているもの、あるいは大きな勢力となっているものに安易に迎合 しないで、自身のスタンスを保っている点が共感できるところです。
例えば、世間にはスポーツ好きは多いようで、「スポーツをしない者やスポーツに関心のない者は変人だ」というような風潮になりがちですが、そういう、大きな勢力になびかない者を見下す風潮に対して辛辣に批判をしている点に共感しました。
また、集団で力を誇示する団体についても、著者は「雑魚(ざこ)は群れる」と批判しています。
数の力 で世の中にのさばる集団に対して、孤高な立場を堅持し、それに誇りを持っている著者に共感しました。



考える日々 2 / 池田晶子  〔単行本〕