著者⇒ 夢枕獏
出版社⇒ 徳間書店
分類⇒ 文学(伝奇小説)
感想⇒ 真言宗の開祖・空海を主人公にした小説というと正統派の歴史小説を思ってしまいますが、本書は著者の空想力が最大に活かされたエンタメ系伝奇小説となっています。
本書の内容は、遣唐使の留学僧として唐の国に渡った若き修行僧・空海が、官人の橘逸勢と共に妖しの事件に挑んでゆくという物語で、中国の史実とも関わる壮大な作品です。
物語は著者の脚色によるものですが、歴史上の人物との関わりをうまく使っていると感じます。
また、空海と橘逸勢は、『陰陽師』シリーズにおける安倍晴明と源博雅のような関係のようで、橘逸勢が頼りない人物として描かれているところがご愛嬌という感じがしますね。
面白さの中心は何といっても妖しに対して空海が呪術で対決する場面が最大の見どころでした。
また、楊貴妃の物語のところでは、年老いた楊貴妃の姿に思わず憐憫の情を感じたほどで、人生の盛衰に感情移入してしまう物語でした。
本書は全4巻の大作で、私は実は2009年1月から読み始めたんですが、途中他の本を読んでたりしてたので、全4巻読み終えるのに6年半近くもかかってしまいました。
全4巻もある話なので、正直、途中で中だるみするような感じも受けましたが、読み終えて、エンタメ小説として読み応えのある作品だったと思いました。
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