著者⇒池田晶子
出版社⇒トランスビュー
分類⇒哲学
感想⇒文筆家の池田晶子さんは2007年2月に、46歳の若さで腎臓がんのため亡くなりました。
その池田さんが確立したジャンルが「哲学エッセイ」でした。その中の本書は、中学生にも哲学的な考え方を身に付けさせるよう書かれた本です。
中学生のために書かれた本ですが、大人が読んでも侮れない内容となっています。
まず文章が非常に論理的です。そして考察する対象も「自分とは何か」「死をどう考えるか」「心とはどこにあるか」「社会」「善悪」「自由」「宗教」「人生の意味」「存在の謎」といった人間存在の根本命題を扱っていて、これらは大人でも容易には答えを出せない命題ばかりです。
これら人生の根本命題を、著者は論理的に考察しつつ、未だ哲学的に考える事に対して慣れていないと思われる14歳の読者を、哲学的考察の方法論へと導いています。
本書では、哲学的考察の方法論を説いても、上記の命題について断定するのではなく、あくまでも示唆だけに留め、後は読者が自ら考えるように仕向けています。
軽薄なものに流されやすい世相にあって、自分の頭で徹底的に人生の意味を考え抜く事を提示する本書は、時機に適った良書だと言えます。
14歳からの哲学 考えるための教科書
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