編者⇒三戸岡道夫
出版社⇒栄光出版社
分類⇒道徳
感想⇒本書は儒教の祖とされる孔子の言行録『論語』を現代的に解説した本です。
孔子の残した言葉は、その後、弟子達によって編纂されて、現代にまで伝えられ読み継がれてきましたが、なぜ孔子の教えが現代でも読み継がれているのか。それは、論語には人が人として生きるべき道が説かれてあるからだろうと思います。
論語というと、古臭い封建的な思想だとして敬遠される事が多いと思いますが、論語を読んでみると、古臭さを感じません。
特に孔子の思想の中核を成す「仁」及び「忠恕」とは真心と思いやりの事を差し、孔子はこれが最も人間にとって重要な心であり、生き方だと説いています。
この教えは孔子の時代から遥かな時を経た現代においても、最も人間にとって重要な思想であり生き方である事にいささかの違いもないでしょう。
それは古代の時代も、科学が発達した現代においても、変わる事のない人間としての本質であり、人間としての正しい心の在り方と生き方だからであると思います。
時代が変わっても人間の本質と根本的な生きるべき道は変わりようがないと言えますし、変わりようがないからそれが人間の本質だとも言えると思います。
確かに孔子の思想は封建主義社会に利用された面もあるとは思いますが、本質的な部分は封建主義とは無縁だと言えるでしょう。
私は保守主義者や右翼主義者ではありませんが、孔子の思想は、思想的立場に関わりなく人間に必須の思想だと思っています。
今回は堅い内容になってしまいましたが、本書は現代世相に適った良書だと言えます。
声に出して活かしたい論語70