2014年8月28日木曜日

黄金仮面

書名⇒ 黄金仮面

著者⇒ 江戸川乱歩

出版社⇒ 春陽堂書店

分類⇒ 文学(推理小説)

感想⇒ 今回も 江戸川乱歩の小説の感想を書きます。
この本は私が小学生の頃、学校の図書館から借りて読んでました。仮面を着けた怪人が事件を起こすという奇怪な雰囲気の内容に胸踊らせて読んだ記憶があります。その頃は、探偵小説・推理小説というものには必ず仮面をかぶった怪人や変装した犯人が出てくるものと思い込んでたものです。少年探偵シリーズやルパン・シリーズでそう思い込んでたようです。
この作品は同じ江戸川乱歩の作でも少年探偵団のシリーズではないですが、黄金の仮面をかぶった窃盗犯が暗躍し、名探偵・明智小五郎が対決するという内容に子供の頃はワクワクして読んだものです。
大人になってから子供向けではない方の 本を読んでみましたが、推理小説として読むと面白みがないですね。作者の江戸川乱歩も本作品を「通俗物だから」と自嘲気味に語っていたそうなので、満足した作品ではなかったようです。
本作品では日本の名探偵・明智小五郎とフランスの怪盗が対決するという内容で、その黄金仮面の正体がアルセーヌ・ルパンだったというので興味深かったんですが、人を殺さないルパンが、相手が日本人だからという理由で明智小五郎を殺そうとしたのはルパンらしさがなくなっていて釈然としなかったものです。
大人になってからよりも子供の頃読めば面白い作品だと言えるでしょう。




黄金仮面 新装
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2014年8月15日金曜日

一寸法師

書名⇒ 一寸法師

著者⇒ 江戸川乱歩

出版社⇒ 角川書店

分類⇒ 文学(推理小説)

感想⇒  私が小学生の頃は、学校の昼休みにはよく図書館に行って本を借りてましたが、その頃よく借りて読んでたのが江戸川乱歩の少年探偵シリーズやコナン・ドイルのホームズ・シリーズ、それにルブランのルパン・シリーズでした。
その中でも特に面白いと思って読んでたのが江戸川乱歩の作品でした。
江戸川乱歩の小説は、同じ探偵小説・推理小説といってもドイルやルブランと違って理知的なトリックや推理よりもおどろおどろとした怪奇趣味の雰囲気に彩られていて、子供の頃はそれが楽しくわくわくして読んでいたものです。
大人になってからも、若い頃は江戸川乱歩の作品に傾倒していた時期があり、殆どの作品は読みました。
その中の1つがこの『一寸法師』です。その後、推理小説・ミステリー小説への興味がなくなって長い間それらの分野の小説を読んでませんでしたが、近頃、久しぶりにこの作品を読み返してみました。
猟奇的なバラバラ殺人に、犯人とおぼしき醜怪な一寸法師のようなこびとの暗躍、そしてそれを追う私立探偵・明智小五郎。これだけ揃うとまさに江戸川乱歩ワールドですね。若い頃はその物語の世界に没頭して妖しい雰囲気を堪能していったものです。
ただ、今回読み返してみると、以前のようには楽しむことはできませんでした。やはりこういう分野に興味が なくなったということが大きいと思いますが、この作品の場合はおどろおどろしさだけで、推理小説の眼目であるトリックに快心のものがないということが挙げられます。
この作品だけに限らず、江戸川乱歩の作品には 推理小説としては駄作あるいは失敗作も多々あるようで、斬新なトリックを目当てにして読むと期待を裏切られることが多いです。
それよりも、江戸川乱歩の作品の場合は、やはりその一種独特の文体とそれによる怪奇趣味の雰囲気こそが魅力となっています。トリックよりもおどろおどろしい雰囲気を楽しむというのが江戸川乱歩の正しい読み方だと言えるのではないかと思います。



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2014年8月7日木曜日

立原道造詩集

書名⇒ 立原道造詩集

著者⇒ 立原道造

出版社⇒ 角川春樹事務所

分類⇒ 文学(詩)

感想⇒  私はこれまで文学というとほとんど小説ばかり読んできて、文学といえば小説というイメージしかわかなかったんですが、それが、少し前に、部屋の整理整頓をしていたら昔の公務員試験の通信講座で使った教材が押入れの奥から出てきて、懐かしいのでその中の国語の教材を読んでたら、教材として詩が載っていたんですが、その詩に感銘を受けて、文学として詩も素晴らしいという思いにかられてしまい、その勢いでこの詩集を読んでみたというわけなのです。
その作品は透き通るような澄明さに満ちており、清々しさを覚える読後感を持ちました。
現代詩はとかく難解なものが多いようですが、本作品は自然の風景を己の心情にからめて、清らかな文章によって天然自然の美しさを表現しようとしています。
それは前衛的な詩人からすればあまりに伝統的あるいは保守的な詩型ではありますが、文学という原点に立ち返って見るならば、この詩集はこれこそ文学であり、それも正統の文学の形であると思います。



 新品本/立原道造詩集 立原道造/著

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