書名⇒ 足摺岬 他五編
著者⇒ 田宮虎彦
出版社⇒ 旺文社
分類⇒ 文学(青春小説)
感想⇒ 久しぶりに読書感想文を書いてみたいと思います。
本書の著者は今まで知らなかったのですが、
戦前から戦後にかけて創作活動を続けていた文学者だそうです。
それで、この著者の作品を初めて読んだのですが、
本作は著者の経験を基にした自伝的小説で、
戦前の思想的に抑圧された時代を背景に、
暗く孤独な学生生活を生きる主人公を通して、
貧しい庶民の心情が心に迫り胸を打たれる内容の作品でした。
そこには、抑圧される貧しい庶民への共感に満ちていて、
左翼思想的なプロレタリア文学に通じるものがありますが、
しかし、本書には思想的な批判精神よりも、
抑圧される貧しい庶民への温かな眼差しが感じられます。
文学的にも、私の個人的嗜好からすれば、最も文学らしい文学だと感じます。
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