著者⇒ 桐野夏生
出版社⇒ 中央公論新社
分類⇒ 文学(近未来小説)
感想⇒人間の心の暗黒面を描いてきた著者が珍しく子供向けの作品を書いたのが本作です。
近未来の渋谷に生きる孤児のイオンが、さまざまな人間や事件と関わってゆくうちに、人の愛、両親の愛というものを理解してゆくという物語なのですが、少年イオンは1人で路上生活をする子供であったため人の愛というものを信じてなかったのが、モガミ達の愛を、最後のところで理解し受け入れてゆく場面は感動的でしたし、嫌われてもなおイオンに愛を注ぐモガミにも感動しました。読後に救われた気持ちになる1冊です。
優しいおとな/桐野夏生