著者⇒ 金原ひとみ
出版社⇒ 集英社
分類⇒ 文学(青春小説)
感想⇒ 本書は数年前、芥川賞を20歳で受賞して話題になった作品ですが、私は正直言って、この種の小説は読む気が起きなくて、今まで読んでませんでした。
作品の文学的考察よりも、作家自身の話題の方が先行していて、話題作りの受賞ではないのだろうかと思っていたからなのです。
しかし、話題にもなったことでもあるし、1度読んでおいた方が良いだろうと思って今回読んでみました。
作品の内容としては、一言で言えば、村上龍の同じく芥川賞受賞作『限りなく透明に近いブルー』の女性版といったところでしょうか。
主人公たちのアンダーグラウンドな日常を描いた小説ですが、本書では刺青とピアスに情熱を燃やす生きざまに新鮮味がありました。
ただ、猥雑で低俗な風俗を扱った小説は好きではなく、関心もないので、あまり期待しないで読んでいったのですが、意外にも、読み進めるうちに、物語の中に引き込まれていきました。
やはり、刺青とピアスの世界が私のような平凡以下の人間には今まで体験したこともない非日常的な描写でもあり、それだけに衝撃的でもあったのです。
物語の世界としては、よく構成されているなあと、感心して読んでました。
ただ、本書の登場人物たちの生きざまには、共感も共鳴もできませんでしたが。
蛇にピアス